請求書だけで終わらせない。登録電気工事業者の帳簿6項目と閉鎖後5年
独立後の工事記録を請求書だけで済ませると、施工場所や施工年月日は分かっても、現場に入った作業者、配線図、検査結果まで一緒に残らないことがあります。登録電気工事業者の帳簿で確認すべきなのは、書類の名称ではなく法令で定められた記載事項です。
帳簿は営業所ごとに備えます。さらに、事業年度の末日に閉鎖し、閉鎖後5年間保存するという時間軸もあります。受注、施工、完了報告、年度末の閉鎖を一つの記録の流れとして設計しておくと、請求後に不足資料を探し直す事態を避けやすくなります。
請求書を帳簿の代わりにする前に、6項目を照合する

関東東北産業保安監督部の案内では、営業所ごとに備える帳簿の記載事項として、次の6項目が示されています。
- 注文者の氏名または名称および住所
- 電気工事の種類および施工場所
- 施工年月日
- 主任電気工事士等および作業者の氏名
- 配線図
- 検査結果
注文者の住所と施工場所は別の項目です。管理会社や法人から受注し、実際の施工先が別住所になる工事では、請求先だけを記録しても施工場所を満たしたことにはなりません。施工年月日についても、請求書の発行日や入金日と混同せず、実際に施工した年月日を残します。
請求書に載りにくい情報を先に見つける
請求書を帳簿作成の元資料にすることと、請求書だけを保存して帳簿管理を終えることは分けて考える必要があります。とくに抜けやすいのが、主任電気工事士等と作業者の氏名、配線図、検査結果です。
一人で施工した場合でも、作業者欄そのものを不要と決めつけず、誰が作業した工事なのかを記録します。応援の作業者が入る現場では、後から記憶で補わなくて済むよう、完了時に氏名を確定させる流れが必要です。
配線図と検査結果まで、一件の工事としてたどれる形にする

6項目を別々の場所へ保存すると、帳簿を見ても、どの配線図と検査結果が対応するのか分からなくなるおそれがあります。法定様式を独自に決めつけるのではなく、一件の工事を同じ管理番号や案件名でたどれるようにするのが実務上の整理方法です。
たとえば、帳簿の記録と関連資料を次の単位でまとめます。
- 注文者、工事の種類、施工場所、施工年月日、主任電気工事士等、作業者を記録する欄
- 同じ工事に対応する配線図
- 同じ工事について実施した検査の結果
- 受注書類や請求書など、取引上必要な関連資料
管理番号は法定6項目とは別の運用上の目印ですが、同じ番号を帳簿、配線図、検査記録に付けておけば、資料の対応関係を確認しやすくなります。注文者名だけで結び付けると、同じ顧客から複数の工事を受けたときに区別しにくくなるためです。
検査結果を、実施していない内容で埋めない
公式資料の記載事項は「検査結果」ですが、すべての工事に共通する検査項目や数値を一律に示しているわけではありません。工事内容に応じて行った確認について、実際に得た結果を記録します。工事別に必要な検査や技術上の判断は、適用される基準や機器の資料も確認してください。
営業所は帳簿を備える単位、施工場所は工事ごとの記載項目

帳簿は「営業所ごと」に備える一方、施工場所は個々の工事について記載します。営業所と現場を同じ分類として扱わないことが、記録を混在させないための出発点です。
営業所が複数ある場合は、どの営業所の帳簿へ記載する工事なのかを曖昧にしない運用が必要です。帳簿、配線図、検査結果の保管単位にも営業所を示し、年度が替わっても所属先を確認できる状態にします。本部で請求処理をまとめている場合でも、法令上の帳簿を備える単位が営業所ごとである点は切り分けてください。
案件名だけでなく、施工場所まで検索できるようにする
注文者が同じでも、施工場所や施工年月日が異なれば別の工事です。顧客名だけに頼らず、施工場所と施工年月日を組み合わせて識別できるようにすると、配線図や検査結果との取り違えを防ぎやすくなります。
営業所を増設した後や、複数の営業所が関係する工事で帳簿の帰属に迷う場合は、自己判断で保存先を決めず、所管行政庁へ確認するのが安全です。
5年間の起点は施工日ではなく、帳簿を閉鎖した後

中国四国産業保安監督部四国支部の手続案内では、帳簿は事業年度の末日に閉鎖し、閉鎖後5年間保存するとされています。
したがって、個々の工事について「施工年月日から5年が過ぎたら廃棄する」という管理ではありません。事業年度内の工事を帳簿へ記載し、その帳簿を年度末に閉鎖してから5年間保存します。年度の早い時期に施工した記録は、施工日から見れば、年度末までの期間に閉鎖後5年間を加えた保存になります。
年度末に閉鎖日と保存期限を確定する
日々の記録だけでなく、年度末の処理まで担当と手順を決めておきます。営業所別・事業年度別に帳簿を区切り、閉鎖した日と閉鎖後5年間の保存期限が分かるようにしておけば、工事ごとに異なる日付で廃棄判断をする必要がありません。
独立時に用意したいのは、請求書の保存箱だけではありません。6項目を記載する帳簿、配線図と検査結果を同じ工事へ結び付ける目印、営業所別の保管場所、事業年度末の閉鎖手順を一続きにしておくことが必要です。様式や保存方法に不明点がある場合は、実際の運用を始める前に最新の公式案内と所管行政庁の確認を行ってください。
帳簿の流れと併せて、独立後の仕事との関わり方も検討している方は、IMAIRUパートナーの案内をご確認ください。取引先向けの完了報告と法定帳簿は目的を分け、それぞれに必要な記録を残せる運用にしておくと安心です。
