別都県に営業所を出す前に。新行政庁への登録、旧行政庁への届出を順番に整理する

別都県への営業所展開と登録行政庁の変更を検討する電気工事業者

独立後に受注地域が広がると、隣県にも営業所を置く案が現実味を帯びてきます。ただし、登録電気工事業者にとって県外営業所の新設は、所在地を一つ追加するだけの変更とは限りません。営業所を置く都道府県の数が変われば、登録行政庁そのものが変わることがあるためです。

準備は、現在と新設後の営業所配置を整理し、従前の行政庁へ切替手続を確認したうえで、変更後の行政庁に登録申請の時期と必要資料を確認する順で進めます。変更後の登録を受けた後は、従前の行政庁への登録行政庁変更届出まで残ります。

県外新設では、会社の本店より「営業所の配置」を見る

新しい営業所の建物を確認する電気工事業者

登録行政庁を判定するときの基準は、営業所をどの都道府県に置くかです。一つの都道府県内だけに営業所を置く事業者は都道府県知事、二以上の都道府県に営業所を置く事業者は経済産業大臣の登録区分になります。

そのため、知事登録の事業者が別都県に営業所を新設すれば、原則として二以上の都道府県に営業所を持つ状態になります。一方、すでに複数都道府県で営業所を運営している事業者では、一か所増やすことが直ちに登録行政庁の変更を意味するとは限りません。

判断の前提は、四国地域の公式手続資料でも示されている登録区分です。新設先の都県知事へ届ければよいと決めつけず、新設後の全営業所を並べて登録先を確認します。

相談前に現在地と計画を一枚にする

行政窓口へ説明する情報が曖昧だと、必要な手続も確定しません。少なくとも次の内容を一枚にまとめておくと、従前と変更後の行政庁へ同じ条件を伝えられます。

  • 現在の登録行政庁、登録番号、登録年月日
  • 既存営業所の名称と所在地
  • 新営業所の予定名称、所在地、業務開始予定日
  • 新営業所で扱う電気工事の範囲
  • 主任電気工事士に選任する予定者

物件の候補しか決まっていない段階でも、少なくとも都道府県と既存営業所の配置は明らかにします。正式な申請では確定した所在地などが必要になるため、相談用の情報と提出用の情報は分けて管理したほうが混乱しません。

従前の行政庁には、旧登録の終わらせ方を確認する

従前の行政庁へ相談するため既存登録の資料を整理する事業者

現在の登録行政庁には、「営業所を増やします」だけではなく、新設後の営業所一覧を示して、登録行政庁が変わる計画であることを伝えます。ここで確認したいのは、一般的な登録事項変更届の書き方ではなく、登録行政庁変更として必要になる手続です。

旧登録証を自己判断で返納しない

従前の行政庁には、登録行政庁変更届出書の提出時期、添付資料、現在の登録証の扱いを確認します。変更後の登録を受ける前に、旧登録証だけを返納したり、廃業手続として処理したりしないよう注意が必要です。

従前の行政庁への確認事項

  • 今回の新設が登録行政庁変更に該当するか
  • 変更後の登録を受けた後に提出する書類
  • 現在の登録証の原本をいつ、どのように扱うか
  • 別に手続中の変更届がある場合の整理方法

通常の変更届と登録行政庁変更届出書は役割が異なります。名称が似ていても、どちらか一方へまとめられるとは考えず、現在の受付先に確認します。

変更後の行政庁には、申請時期と営業所別資料を聞く

新営業所の主任電気工事士資料と備付器具を確認する様子

新設後に二以上の都道府県へ営業所を置く場合、新しい登録区分は経済産業大臣になります。実際の提出先や提出方法は営業所の配置によって確認し、申請書の宛先だけで判断しないことが大切です。

相談時には、申請を受け付けられる時期、必要部数、手数料の納付方法、法人と個人で異なる添付資料を確認します。行政庁ごとの案内や様式改訂もあり得るため、過去に使った書類一式の流用は避けます。

新営業所の主任電気工事士を後回しにしない

一般用電気工作物等に係る電気工事の業務を行う営業所では、営業所ごとに主任電気工事士を置く必要があります。新営業所の物件が決まっていても、人員と確認資料が整っていなければ申請準備は完成しません。

候補者については、電気工事士免状の種類、実務経験に関する証明の要否、申請者本人か従業員かを整理します。第二種電気工事士を主任電気工事士とする場合は、必要な実務経験を証明する資料も確認対象です。

あわせて、備付器具に関する書類や、従業員であることを確認する資料の要否も提出先へ聞いておきます。申請準備の単位は会社全体だけではなく、営業所ごとの人員と器具です。

新行政庁への登録を先に、旧行政庁への届出を後に置く

変更後の行政庁へ登録申請書類を提出する場面

登録行政庁が変わる場合、従前の行政庁へ先に住所変更を出して終わり、という順序にはなりません。変更後の行政庁へ登録を申請し、新たな登録を受けてから、従前の行政庁へ登録行政庁変更届出書を提出する流れで組み立てます。

中国地域の登録行政庁変更届出書には、新たに登録した行政庁、登録年月日、登録番号を記載する欄があります。この様式からも、旧行政庁への届出は新しい登録情報が確定した後の工程であることが分かります。

五つの工程を一つの進行表で追う

  1. 既存営業所と新営業所の配置を確定し、登録区分を確認する
  2. 従前の行政庁へ、行政庁変更の手続と旧登録証の扱いを確認する
  3. 変更後の行政庁へ、登録申請の時期と必要資料を確認する
  4. 主任電気工事士などの資料をそろえ、変更後の行政庁へ登録を申請する
  5. 新しい登録を受けた後、従前の行政庁へ登録行政庁変更届出書を提出する

新営業所の営業開始日との関係は、計画段階で両方の行政庁へ伝えて確認します。物件契約日、採用日、登録申請日を別々に決めるのではなく、必要資料がそろう時期から逆算すると手戻りを抑えられます。

開設予定日まで、手続の完了欄を空白にしない

営業所開設日までの行政手続を進行表で管理する電気工事会社

県外営業所の準備表には、物件、工具、車両だけでなく、「登録行政庁の確認」「新行政庁への申請」「新登録の確認」「旧行政庁への届出」を別々の欄として置きます。主任電気工事士の氏名だけでなく、免状や実務経験証明などの確認状況も記録しておくと、人員準備と行政手続を同じ進行表で追えます。

県外新設で迷いやすい三つの疑問

別都県への新設なら、必ず登録行政庁が変わりますか?

必ずとは限りません。現在一つの都道府県内だけに営業所がある場合は、新設後に二以上の都道府県へ広がるため登録区分が変わります。すでに複数都道府県へ営業所を置いている場合は、現在の登録内容と新設後の配置を示して確認してください。

新営業所の主任電気工事士はいつまでに決めますか?

変更後の行政庁へ申請する資料を整える段階で、候補者と必要な証明資料を確定させます。一般用電気工作物等に係る電気工事を行う営業所では営業所ごとの選任が必要なため、開設直前の採用課題として残さないほうが安全です。

従前の登録証は新しい申請に添付しますか?

自己判断で処分したり、先に返納したりせず、従前の行政庁へ提出時期と方法を確認します。旧行政庁への登録行政庁変更届出は、新しい登録を受けた後の工程です。

営業所を増やす計画では、行政手続と並行して、新しい地域でどのような協力体制を築くかも検討事項になります。事業者向けの案内は、IMAIRUパートナーで確認できます。

県外展開は、住所を増やす作業ではなく、登録主体と営業所ごとの責任体制を組み直す作業です。新旧の行政庁へ同じ営業所一覧を示し、新しい登録から旧行政庁への届出までを一本の工程として管理してください。