登録電気工事業者が営業所を増やすとき、主任電気工事士は「営業所ごと」に確認する
支店や施工拠点を増やす計画では、物件や商圏の検討が先行しがちです。しかし、人員配置表の「主任電気工事士」欄が本社と新拠点で同じ名前になっているなら、計画を見直す必要があります。
登録電気工事業者が一般用電気工作物等に係る電気工事の業務を行う場合、主任電気工事士は会社に一人いればよいのではなく、対象となる営業所ごとに確認します。しかも、一人が二つの営業所の主任電気工事士を兼ねることはできません。
そのため、営業所追加は場所だけの問題ではありません。新拠点で行う業務と、そこに配置できる人を同時に決める必要があります。
数える単位は会社全体ではなく、対象業務を行う営業所

主任電気工事士の配置を考えるときは、法人全体の有資格者数ではなく、一般用電気工作物等に係る電気工事の業務を行う営業所の数を基準にします。本社に要件を満たす人がいても、新しい営業所の配置要件まで自動的に満たすわけではありません。
たとえば、本社と新営業所の二拠点で対象となる電気工事業務を行う計画なら、それぞれの営業所について主任電気工事士を確認します。「会社に有資格者が二人いる」というだけでは足りず、誰がどの営業所に所属し、そこで業務に従事するのかまで対応させる必要があります。

一方、新拠点を社内で「支店」「倉庫」「連絡所」などと呼んでいても、名称だけで主任電気工事士の要否を判断するのは適切ではありません。予定している業務、施工管理との関係、届け出る内容を整理し、その拠点が制度上どのように扱われるかを所管行政庁へ確認するのが確実です。
同じ主任電気工事士を新旧二つの営業所に置くことはできない
主任電気工事士は、選任された営業所以外の営業所で主任電気工事士を兼ねることができません。本社の主任を新営業所の書類にも記載し、実際の管理は行き来して対応するという設計は、この配置ルールに合いません。
開設時期が近づいてから別の候補者を探すと、人員配置や手続きの日程を組み直すことになりかねません。新拠点を計画に載せる段階で、専任先が重なっていない候補者を確保できるか確認しておく必要があります。
資格要件と「どこで従事するか」は別々に確認する
主任電気工事士には、第一種電気工事士、または第二種電気工事士免状の交付後に電気工事の実務経験を3年以上有する人を選任します。第二種電気工事士を候補にする場合は、免状の有無だけでなく、交付後の実務経験も確認対象です。
さらに、その人が新営業所で対象業務に従事する配置になっているかを確かめます。資格要件を満たすことと、新営業所の主任として配置できることは、分けて考えたほうが混乱しません。
人員表には氏名だけでなく所属先を入れる
社内の検討資料では、有資格者の一覧だけを作るのではなく、「現在の所属営業所」「主任としての選任状況」「新営業所への配置予定」を並べると兼任を見つけやすくなります。応援や巡回の予定がある場合も、主任電気工事士としてどの営業所に置くのかは一つに定めて検討します。
営業所の物件と人員を別々に決めない
新営業所の計画を具体化する前に、拠点の機能と人員配置を一枚の資料にまとめてみると、確認漏れを減らせます。

- 新拠点で一般用電気工作物等に係る電気工事の業務を行う予定があるか
- 主任電気工事士の候補者は資格要件を満たしているか
- 第二種電気工事士の場合、免状交付後の実務経験を確認できるか
- 候補者が別の営業所の主任電気工事士になっていないか
- 新営業所で対象業務に従事する人員配置になっているか
- 営業所追加後の所在地を前提に、手続先を確認したか
この段階では、社内で判断を完結させる必要はありません。むしろ、拠点の業務内容と配置案を具体化したうえで行政庁へ照会したほうが、確認したい論点が明確になります。
追加手続きは所在地と主任電気工事士を一組で確認する
営業所を増やす際は、所在地の追加だけでなく、主任電気工事士の選任を含めた登録関係の手続きが問題になります。また、既存営業所と新営業所の所在地の組み合わせによっては所管行政庁が変わるため、「現在の行政庁へ同じ変更届を出せばよい」と決めつけないほうが安全です。
申請先や必要書類を調べる際は、関東東北産業保安監督部の登録電気工事業者向け案内で公式情報を確認できます。自社の営業所所在地や登録状況によって扱いが異なり得るため、判断に迷う点は所管行政庁へ確認してください。

開設日だけを先に決めるのではなく、業務内容の整理、主任候補者の確認、手続先の特定、書類準備までを同じスケジュールに入れておくと、場所は用意できたのに人と手続きが整わないというずれを避けやすくなります。
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営業所追加でよく生じる疑問
本社の主任電気工事士は新営業所も兼任できますか?
兼任できません。主任電気工事士は、選任された営業所以外の営業所の主任電気工事士になることができないため、新営業所については別の候補者を確認する必要があります。
第二種電気工事士でも主任電気工事士になれますか?
第二種電気工事士免状の交付後、電気工事に関する実務経験を3年以上有する人は候補になります。免状だけで判断せず、交付時期と実務経験を確認してください。
営業窓口として設ける拠点にも必ず配置が必要ですか?
拠点の呼び名だけでは一律に判断できません。一般用電気工作物等に係る電気工事の業務を行う営業所に当たるかが判断の軸になります。新拠点で予定する業務と運営実態を整理し、所管行政庁へ確認してください。
営業所追加で最初に数えるべきなのは、会社全体の有資格者ではなく、対象となる営業所と、そこに配置できる主任電気工事士です。新拠点の業務、人員、手続先を一つの計画として確認することが、無理のない開設準備につながります。
