電気工事業を始めるとき、測定器はどこまで備える必要がある?
開業前に工具をそろえ始めると、絶縁抵抗計も接地抵抗計も検電器も、同じ「最初に買う物」に見えてきます。ところが、電気工事業法が営業所ごとに備えるよう求めている検査器具は、一般用電気工事だけを行うか、自家用電気工事も扱うかで同じではありません。
一般用電気工事だけの営業所に求められるのは、絶縁抵抗計、接地抵抗計、抵抗と交流電圧を測れる回路計です。自家用電気工事まで扱う営業所では低圧・高圧検電器などが加わる一方、継電器試験装置と絶縁耐力試験装置は、必要なときに使える措置があれば備付けとみなされます。
買う物の一覧を先に作ると、この違いを見落としやすくなります。工具のメーカーや価格を比べる前に決めたいのは、開業時にどの工事を営業所の業務に含めるかです。
一般用電気工事だけなら、備える三種類が決まっている

電気工事業法第24条は、電気工事業者に対し、営業所ごとに省令で定める検査器具を備えるよう求めています。産業保安監督部の案内によると、一般用電気工事だけを行う営業所の対象は、絶縁抵抗計、接地抵抗計、抵抗と交流電圧を測定できる回路計の三種類です。
ここで基準になるのは、所有する工具の総数ではなく、営業所で行う電気工事の区分です。独立前から持っている測定器があっても、三種類のどれに当たり、営業所の備付けとして使える状態なのかは器具ごとに確かめる必要があります。
自家用電気工事を扱うと、必要な器具が増える
自家用電気工事の業務を行う営業所では、一般用電気工事で挙げられた三種類に、低圧検電器、高圧検電器、継電器試験装置、絶縁耐力試験装置が加わります。「電気工事用の測定器」と一括りにしても、開業時の業務範囲が違えば同じ購入表にはなりません。
このうち、継電器試験装置と絶縁耐力試験装置は、必要なときに使用できる措置が講じられていれば、備付けに含まれます。経済産業省の逐条解説は、同業者との賃貸契約や、自社の別営業所から必要時に持って来られる状態を例示しています。購入以外の方法が認められているのは、この二つの試験装置についてです。
法令上の備付けと、日々使う工具は別の一覧になる

法令に挙がる検査器具は、開業後に使う工具をすべて並べた一覧ではありません。実際の工事には、受注範囲に応じた一般工具、保護具、脚立、養生材、消耗品、運搬用具も必要です。一方で、将来扱うかもしれない工事のための道具まで、開業日に一括購入する根拠にもなりません。
一般用電気工事だけから始めるのか、自家用電気工事まで業務に含めるのかを決めると、法令上の備付けと、実際の受注に使う工具を分けて考えられます。電気工事業者として必要な登録・届出や営業所要件は、電気工事士として開業する前に、登録か届出かを先に整理するでも確認できます。
工具に使う設備資金と、仕事を回す運転資金を分ける

日本政策金融公庫の「建設業の創業のポイント」は、工具や車両などを設備資金、材料の仕入れ、外注費、燃料代、賃借料などを運転資金の例として分けています。法令上の器具をそろえる費用だけが、開業時に必要な資金ではありません。
同公庫の創業計画書セルフチェックも、必要な資金を設備資金と運転資金に分けて記入する形式です。測定器の購入費だけでなく、材料仕入れや外注費など、仕事が始まってから必要になる運転資金も分けて見積もっておく必要があります。
