会社を辞めることは、人生の大きな転機です。その決断をするには慎重な準備が必要です。思い立ってすぐに辞めてしまいたい気持ちも理解できますが、実際にはその後に起こるさまざまな事務手続きや生活面での変更、金銭面での問題などを乗り越えるためには、事前にしっかりと準備を整えておくことが欠かせません。
この記事では、会社を辞める前に知っておくべき重要な準備事項を、段階を追って詳しく解説していきます。これらの準備を怠ると、退職後に思わぬ困難に直面することもあります。最初は面倒に感じるかもしれませんが、しっかりと準備することで、よりスムーズに、また後悔せずに新たなスタートを切ることができます。
生活費6ヶ月分以上の貯金を確保する
会社を辞める際、まず最初に重要なのはお金です。辞めた後すぐに仕事が見つかる場合もありますが、多くの人は再就職や独立に向けた準備が必要です。そのため、退職後の数ヶ月間は生活費の不安をなくすための貯金が不可欠です。
なぜ6ヶ月分なのか？
予想以上に時間がかかる場合：転職活動が長引くこともありますし、独立する場合は事業が軌道に乗るまで時間がかかることも多いです。
不測の事態への備え：退職後はすぐに収入が途絶えます。何かしらの理由で生活費がかかる場合もあるので、余裕を持つことが重要です。
目安としては、生活費の6ヶ月分、理想としては1年分を貯めておくことをおすすめします。貯金があれば、精神的にも余裕を持って新しい環境に進むことができます。
退職後の健康保険・年金の手続きを確認する
退職後に最も影響を受けるのが、健康保険と年金です。会社員として働いていた場合、これらは会社が手続きを代行してくれていましたが、退職後は自分で管理しなければなりません。
健康保険：
退職後は、通常の社会保険（健康保険）から外れ、任意継続や国民健康保険への切り替えが必要です。任意継続には2年間の期間制限があるため、その後にどうするかも検討しておくべきです。
年金：
会社員時代は厚生年金に加入していましたが、退職後は国民年金に切り替える必要があります。退職後すぐに市役所で手続きをするか、年金手帳を持って自分で手続きをする必要があります。
事前にこれらの手続き方法を理解しておけば、退職後に慌てずに済みます。
税金の支払いを確認する
退職後に忘れがちなのが、税金の支払いです。特に住民税については、退職後も払い続けなければならない場合があります。住民税は前年の所得に基づいて支払われるため、退職した翌年の6月頃に請求書が届くことになります。
また、退職時に源泉徴収票をもらい、確定申告をする場合もあります。独立を考えている方は、確定申告を通じて経費を計上できる場合があるので、事前に税理士に相談することをお勧めします。
有給休暇の残日数を確認し、できるだけ消化する
退職時に「有給休暇はもう使い切ったから、消化できない」と思っている方も多いですが、会社には有給休暇を消化する義務があるため、退職前に可能な限り有給休暇を使うことをおすすめします。
有給休暇を使って退職前にしっかりと休養を取ることで、退職後の新しいスタートにも余裕を持って臨めます。もちろん、すべての有給休暇を消化する必要はありませんが、最低限、できるだけ休んでおくと、心身ともにリフレッシュして次のステージに進むことができます。
離職票や源泉徴収票などの必要書類を確認して受け取る
退職後にすぐに必要となるのが、離職票や源泉徴収票などの書類です。これらの書類は、失業保険の申請や転職活動、独立時の確定申告に必要となります。
離職票：
失業保険を申請する際に必要です。退職後2週間以内に郵送されるのが一般的ですが、念のため確認しておきましょう。
源泉徴収票：
転職時や確定申告時に必要です。必ず手元に受け取っておくことを確認しましょう。
信頼できる人脈を整理し、つながりを保つ
退職後の独立や転職において、人脈は非常に重要な要素です。退職前に、これまでの同僚や上司、取引先との信頼関係を大切にしましょう。特に、独立を考えている場合、事業の紹介や協力を依頼する際に人脈が大きな助けとなります。
SNSや名刺交換：
LinkedInなどのSNSに登録し、退職前にこれまでの関係を整理しておくと良いでしょう。
後々必要になった場合に備えて、定期的に連絡を取っておくことをお勧めします。
転職活動や独立の準備を始める
退職を決めたら、次にやるべきは転職活動や独立に向けた準備です。退職後すぐに動き出せるよう、退職前に必要な準備を整えておきましょう。
転職活動：
求人情報の収集、面接の準備、履歴書や職務経歴書の更新をしておくこと。
独立・開業準備：
事業計画書の作成や、開業届の準備、必要な資格の取得などを進めておくこと。
この段階をしっかりと準備しておけば、退職後すぐに新しいキャリアに進むことができます。
自分のスキルや実績を整理し、ポートフォリオ化する
転職や独立を目指す場合、これまでの仕事で得たスキルや実績を整理しておくことが非常に重要です。これをポートフォリオや職務経歴書としてまとめておくことで、面接や営業活動にも役立ちます。
スキルマップの作成：
自分の強みを客観的にまとめてみましょう。
ポートフォリオ：
過去のプロジェクトや成功事例をまとめ、WebサイトやPDFで作成しておくと、後で役立ちます。
退職後の生活を見据えたライフプランを立てる
退職後は、生活スタイルや収入源が一変します。再就職する場合も、独立する場合も、今後のライフプランをしっかり考えておくことが必要です。
生活費の見積もり：
退職後の収入が不安定になる場合に備えて、どのくらいの生活費が必要か、予算を見直しておくこと。
精神的な準備：
退職後に孤独感や不安感が強くなることもあるので、サポートネットワークを意識的に作ること。
辞める前にやっておくこと」をリスト化し、チェックしておく
最後に、退職前にやっておくべきことをすべてリスト化して管理しておきましょう。退職後に焦らないためにも、やるべきことを整理して、スムーズに引き継ぎを終わらせることができます。
まとめ
会社を辞める決断は非常に大きなものです。しかし、しっかりと準備を整え、後悔しない形で辞めるための準備をしておけば、次のステップに進む際にスムーズに進行できます。この記事で紹介した準備事項を参考に、ぜひ実行してみてください。
