「起業してみたいけれど、うまくいく確率ってどのくらいなんだろう?」
将来、自分で事業を始めたいと考えたとき、誰もが一度は抱く疑問ではないでしょうか。
結論から言えば、日本における起業の成功率は、決してゼロではありません。むしろ、捉え方次第では希望が持てる数字です。
ただし、少し冷静になっておきたいのが「何をもって成功とするか」は人によって大きく違うということ。黒字になったら成功? 収入が安定すれば成功? あるいは、会社が生き残っていればそれでいい?
この記事では、「生存率」「収益」「事業の拡大」といった複数の視点から、起業のリアルな成功率とその背景を解説していきます。起業を考えている方は、まず現状を知ることから始めてみてください。
目次
起業した会社はどれだけ残っているのか?
起業するからにはうまくいきたいと思うのが自然ですが、その「うまくいく」という状態にも幅があります。まずは、生存率という客観的なデータを見てみましょう。
日経ビジネスによると、ベンチャー企業の生存率は以下の通りです。
- 起業から5年後:15.0%
- 起業から10年後:6.3%
- 起業から20年後:0.3%
つまり、5年経つと約85%の企業が姿を消しており、20年後まで存続できている企業はわずか0.3%。こう聞くと、起業の世界がいかに厳しいかを感じるかもしれません。
とはいえ、これはあくまで「全体」の話。実際には個人で小規模に始めて黒字を出している人もいれば、派手ではないけれど安定した事業を続けている人も多くいます。
起業とは、大企業に比べてチャレンジングな環境であることは確かですが、慎重な準備や努力次第で未来は大きく変えられるということも忘れてはいけません。
起業の「成功率」はどう見るべき?
「成功」と一口に言っても、どんな状態を指すのかによって見方が変わります。ここでは、代表的な3つの基準から成功率を見ていきます。
黒字経営にできている割合
成功率の目安:3年以内で約30〜40%、5年以内で20〜30%
中小企業庁や日本政策金融公庫のデータによると、起業後3〜5年以内に黒字経営へ移行できている人は、全体の約3〜4割です。
つまり、10人中3〜4人は収支をプラスにできている計算。これは比較的手が届きやすい現実的なラインとも言えます。
ただし、黒字化していても手元に残る利益が少なければ、生活の安定にはつながらないこともあります。とはいえ、黒字という結果は「ビジネスが成り立っている」という大きな一歩に違いありません。
サラリーマン並みの収入を得られている割合
成功率の目安:約10〜15%
年収500万円以上を実現している起業家は、全体の10〜15%ほど。10人に1人、または2人程度の割合になります。
実際には、「生活がギリギリ」「家族に頼っている」「給与ゼロで運営している」など、起業家の現実は厳しいことが多いです。
ただ、このラインを超えれば、経済的に自立した経営者としての安定が見えてくるとも言えます。
事業を拡大し、成長させている割合
成功率の目安:5〜10%未満
売上を伸ばしたり、人を雇ったりして事業を拡大できている起業家は全体の5〜10%未満。10人に1人にも満たない数字です。
これは、スケールアップに必要な仕組みづくり、資金力、営業力など、求められるスキルが多岐に渡るためです。
ただし、このステージに達すれば、ビジネスとしての可能性は一気に広がります。
起業の成功率は「視点」で変わる
成功の定義 | 成功率の目安 | 成功のイメージ |
黒字経営 | 約30〜40% | 3〜4人に1人が利益あり |
年収500万円超 | 約10〜15% | 10人に1〜2人が達成 |
事業拡大 | 約5〜10%未満 | 10人に1人未満が拡大に成功 |
大切なのは、「自分にとっての成功とは何か」を見つめ、そのゴールに向けた戦略を描くことです。
起業で失敗する人が陥りやすい4つのポイント
起業に失敗するパターンにはいくつか共通点があります。以下のような例に注意しましょう。
- 事業計画があいまいだった
方向性が定まっていないと、判断を迷いやすくなり、モチベーションを保てなくなることも。 - 初期投資が過剰だった
売上が安定していない時期に固定費がかさむと、資金繰りが厳しくなりやすいです。 - 競争が激しい市場に参入した
差別化が難しい分野では、大手や先行者に押されて埋もれてしまう可能性が高くなります。 - 無理に法人化してしまった
最初は個人事業主でスタートし、軌道に乗ってから法人化するのも一つの手です。
起業成功のために意識したい5つのこと
- 小さく始める
まずは副業や小規模な形で始め、リスクを抑えながら市場を知るのがおすすめです。 - 必要なスキルを磨く
会計やマーケティング、交渉力など、基本的なビジネススキルを身につけておくと安心です。 - 長期目線の目標を持つ
「1年後、3年後、5年後どうなりたいか?」というビジョンがあると、ブレずに進めます。 - 成長環境に身を置く
孤立せず、他の経営者や仲間との交流の中で刺激を受けることも大切です。 - フランチャイズという選択肢も考える
既存の仕組みを活用できるため、未経験者でもスタートしやすい方法のひとつです。
まとめ
起業成功のカギは「準備」と「継続」
起業は誰にとっても簡単な道ではありませんが、失敗のパターンを知り、戦略的に動けば成功の確率を高めることは十分可能です。
「何を成功とするのか」を明確にし、背伸びせず、自分らしいペースで進めていくことが、起業を継続するための第一歩です。